熱闘!エレキギター合戦

クロスロード [DVD]
ウォルター・ヒル監督の『クロスロード』1986年という映画を観ましたか?
ブルースギターの先祖として有名なロバート・ジョンソンの伝説をテーマにした青春音楽?映画だ。その伝説とは「夜中の12時にある交差点のど真ん中に立つと悪魔が現れ、彼に魂売り渡す約束をするとギターのテクニックを伝授される」というもの。ロバート・ジョンソンはその伝説の通り悪魔と取り引きをし、当時は誰にも弾けない曲を作り演奏した。レコーディングの際も、スタジオで他のギタリストに見られないように後ろを向いて演奏したという逸話が残っている。ともあれ彼のギタースタイルは後のブルースギターの基礎となった。クラプトン様がクリーム時代にカバーした『クロスロード』は今なおブルースロックの定番中の定番。
さてその映画なのだがこれがまたうぷぷぷぷ。
主演はラルフ・マッチオ。そう、あの『ベストキッド』(原題はカラテキッド)の主役なのだ。いやいやそう言えば似ているんだプロットが。カラテとブルースギターという違いはあるが。
ベスト・キッド 3 最後の挑戦 [DVD]
(凄いぞこの映画は)
http://www.yunioshi.com/movies2.html#Anchor469540

何かを目指す青年、伝説、旅、違う人種で年老いた師匠との出逢い、応援する彼女、修行、ライバル、挫折、対決、勝利と栄光…。
ちょっぴりルーク・スカイウオーカー&ヨーダみたいか。よくある話なのかもしれないが。ラルフ・マッチオ君は自分で自分のパロディを演じているのだ。
で、そのラルフ・マッチオ演じるユージンはもともとクラシックのギタリストだったのだが、クロスロード伝説を聞き、老黒人の師匠から手ほどきを受け、辛い修行の末ブルースギターの伝道師のようなものを目指す。クライマックスは何と「エレキギター合戦」。大勢の観客を前にライバルのギタリストと死闘?を繰り広げる。負けそうになりあきらめかけた時師匠から「理力を使うんじゃ!」みたいなことを言われ奮起、アット驚くテクニックが飛び出し、ライバルのギタリストを圧倒して勝利する。
アット驚くテクとはクラシックのテク(パガニーニの曲)だ。じゃあ今までのブルースの修行は何だったのよ。しかもライバルが弾いているのはもろヘビメタ系の速弾きロックだし…。
ね。でも凄く面白そうでしょ?

この映画、主演のラルフ・マッチオはギター(テレキャスター)を猛練習して弾けてるように演技で見せている。当時はCG合成なんてなかったからね。で、実際に弾いているのはスライドの大名手ライ・クーダーだ!これはラルフ・マッチオがとってもうまく指を合わせているので本当に誉めてあげたい。余談だがこの少し前に『コンペティション』というクラシックのピアニストを描いた映画があったがここではリチャード・ドレイファスとエイミー・アーヴィングが見事にピアノを弾いていた!こういうところはハリウッド(と俳優たち)は絶対手を抜かない。
さて、ライバルの「悪魔のギタリスト」なのだが、それを演じているのは何とスティーブ・ヴァイ!当たり前だがこれは本人が弾いている(実際は対決シーンのマッチオのパートも彼)。ここに出演したヴァイは言わば悪役なのだがかっこいい!知らない人が観たら俳優さんがマッチオ同様ギター弾きの真似しているんじゃないかって思えるほど、ちゃんと演技もしている。負けてギターを放り投げて舞台を降りるとこなんて、爆笑なしで見られない。だってこのライバル、ギター合戦にしか出てこないんだもの。普通は映画の半ばくらいに出てきて、主人公に「お前なんかに負けねえぞ俺様は天才だからな!」くらいの伏線があってもいいもんだが、そんな洒落た場面はありません。ヒル監督の前作『ストリート・オブ・ファイア』みたいな洗練されたものは何もなくてどこまでも泥臭く、田舎臭い。でも、ブルースの本場アメリカ南部(正確なロケ地は不明ですがたぶんミシシッピでしょう)の雰囲気とかがよく出ていて、ギター好き、ブルース好き、スティ−ブ・ヴァイファンは必見の映画でしょう。あ、バンド仲間と酒飲みながら観るには最高のツマミかも。対決の後ユージンが「演奏する」曲はヴァイの実際の師匠ジョー・サトリアーニが弾いているそうだ。

Sex & Religion

Sex & Religion

(これも凄すぎるよ)