3人寄れば文殊の知恵。バグルズの猛者たち。

今度来日するエイジアのメンバー、ジェフ・ダウンズは1977年、トレヴァー・ホーンとともにバグルズを結成し、『ラジオ・スターの悲劇(Video Killed The Radio Star)』で1979年にデビュー。この曲で全英1位になり、その特異なサウンドで一躍「ニューウエーブの代表者」みたいな存在になったが、残念ながらその後があまり続かず、2人はなんとプログレバンドのイエスに加入し『ドラマ』というアルバムを作っている。ニューウエーブからオールドウエーブに参加したというのも珍しいし、全英1位にまで上りつめたバンドが他のバンドにそのまま加入するというのも前代未聞だった。僕はジョン・アンダーソンもリック・ウェイクマンもいないイエスなんてガタガタだろうと思っていたのだが、意外とこのアルバムはそれなりに出来ていて違和感が無かったことを覚えている。
だが、結局このイエスも短命に終わってしまうが、その後、トレヴァ−・ホーンはプロデューサーとしての腕をぐんぐん上げていき、イエスの『90125ロンリーハート
ロンリー・ハート(EXPANDED&REMASTERED)


という大ヒットアルバムを生んでいる。(今や懐かしいがジャン!というサンプラーを用いた「オーケストラヒット」という音を使っていて、当時は斬新な 効果を上げていた)トレヴァ−・ホーンは今なお最新のミュージシャン(例えばt.A.t.Uなど)のプロデュースもしている売れっ子である。

ところで『ラジオスターの悲劇』だが、ちょっと前に子供が日本語で歌っていてびっくりした。何でそんな昔のしかもイギリスの歌知ってるの?って聞いたら、NHK教育テレビ 『天才てれびくん』でやっているとのこと。かのゴダイゴタケカワユキヒデがアレンジしているらしい。最近のNHKは素晴らしい!で、バグルズのオリジナル『ラジオスターの悲劇』を聞かせてやったら不思議そうに目を白黒させていた。

ところで僕は映画音楽も好きでよく聞くのだが、ここ数年一番好きな映画音楽家といえば躊躇なくハンス・ジマーの名前を挙げる。彼はドイツ生まれのピアニストだが、’79年に渡英してすぐに、バグルズのプロジェクトに関わっている(正式メンバーではないが)。かのバグルズは、ジェフ・ダウンズトレヴァ−・ホーン、ハンス・ジマーという今となっては信じられない組み合わせで生まれたものなのだ。確かに今聞き直しても、「先進的なサウンド」と緻密な曲構成、それでいてPOPで聞き易い。凄いバンドだったと改めて感心しました。
白状するとハンス・ジマーに最初注目したのは『パワー・オブ・ワン(1992)』
パワー・オブ・ワン [DVD]


という映画を観た時で、アフリカンリズムを取り入れた力強いスコアにまず惚れた。実はその時は彼がバグルズ関係とは全く知らなかった。その後はアニメ『ライオン・キング』。やっぱりアフリカ風だが、これで僕はもうベタ惚れ。しかもここにきて彼がかつてのバグルズ一派とわかり、以来、彼の音楽を求めて遡って改めて映画を観るようになった。『ブラックレイン』、『レインマン』、そして最近では 『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ、『バットマン ビギンズ』。最新作は『ダ・ヴィンチ・コード』。やはり少し民族音楽っぽいのが得意なようで、エキゾチックな旋律とリズムをうまく取り入れ、ロックでもジャズでもクラシックでもない曲は、繊細な曲もパワフルな曲もどちらも素晴らしい出来栄だ!
料理の鉄人』のテーマ曲でもあった『バックドラフト』も忘れられない。特にリドリー・スコット監督のお気に入りらしく最近の作品はほとんど彼だ。

しかし、バグルズ
ひとりはエイジアの中心メンバーとして来年来日する。
Alpha
このアルバムの『偽りの瞳the Smile Has Left Your Eyes』名曲です!


ひとりはt.A.t.Uなどのプロデューサーとして活躍している。
ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス
この季節に思い出すのはイギリスのロックスター総出演のこれですね。
トレヴァー・ホーンがプロデューサーでした。

でも僕が好きなのはこのプロジェクト
アート・オブ・ノイズ
The Seduction of Claude Debussy?ドビュッシーの誘惑?


ひとりはハリウッドで一番売れっ子の映画音楽家
パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(期間限定) [DVD]
このシリーズはとにかく面白い!


それぞれがこんなにバラバラな活動しているなんて
結成当時誰が予想しただろう?