獄中から『レイラ』をリクエストします。

いとしのレイラ [でかジャケCD]
『いとしのレイラ』といえば言わずと知れたエリック・クラプトンの代表曲でまたロック史に残る名曲である。
(この曲が作られた背景)
http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060626

あのイントロのフレーズはロックギタリストなら必ずやるべきもので、ロック版『禁じられた遊び』みたいなものである。(昔アイドルの南沙織の曲『傷つく世代』にこのフレーズそっくりのところがあってびっくりしたことがあるが。)
ベスト・コレクション

さすがにこのフレーズを弾きながら歌うのはクラプトン様でも出来ないのでライブではサポートメンバーが弾いている(イントロなど出来る部分はもちろんやってるけど)。僕はクラプトン信者なので初来日からほとんどライブに行ってるが、サポートメンバーが変わるたびいろいろなバージョンがあって、メンバーについてもそれぞれの思い入れや趣きがあり、それはそれは感動ものなのだ。だがオリジナルのレコードバージョンはやはり特別だ。クラプトンのギターに絡んでくるスライドギターはデュアン・オールマンで、圧倒的なテクニックを聞かせる。これらのフレーズはさすがのクラプトンも出来なくて、しかも彼の強力なサポートメンバーでさえも全く敵わないところでこれは真に「奇跡的な演奏」と言えるだろう。
だが、デュアンはこのすぐ後バイク事故で亡くなってしまったのでクラプトン&オールマンの共演は僕らは永遠に見ることができない。本当に残念だ。
フィルモア・イースト・ライヴ+6(デラックス・エディション)
(その死ぬ前のデュアン・オールマンの最高傑作。これを聞かずしてアメリカン・ロックを語るべからず)

ところで案外知られていないことだが、この曲、クラプトンの完全オリジナル曲ではない。共作者がいるのだ。曲の後半のピアノから始まる部分で、ここはドラムのジム・ゴードンが作曲した(最近リタ・クーリッジ作曲説があるが、クレジットはゴードン)。これはクラプトンがこのピアノ曲が気に入ってほとんど無理矢理『レイラ』の後半に入れたといういきさつがある。
因みにこのバンド「デレク&ドミノス」は、クリームで疲れ果てたクラプトンがアメリカで気の合う仲間を集めて結成され、リラックスムードで終止録音が行われていたというイメージがある。だが実際はそうでもなくて、当のジム・ゴードン氏、レコーディングの途中でいきなり怒りだし、スタジオから出て行って二度と戻らなかったという。クラプトンの話だと何でも皆で誰か他のドラマーのことを話題にしてたら突然ゴードンが「そんなにそのドラマーがよければそいつを入れればいいだろう」とか言いだして出て行ったそうである。わ〜、江戸っ子だね!というか彼は早とちりで熱しやすいタイプだったようだ。こういう人があの情緒たっぷりなビアノ部を作るのだから世の中分からない。だが驚愕の事実はここからだ。
ゴードン氏、その後、『レイラ」の印税がたんまり入って来るようになったが、活動としてはジョン・レノンのアルバム『Imagine』や『ジョンの魂』の「Power To The People」などの曲に参加したり、
ジョンの魂 ?ミレニアム・エディション?

セッションドラマーとしてしばらく仕事をするが、結局あまりパッとした活躍をしていない。そのうち生活は荒みドラッグまみれになってしまい、ついに実の母を銃殺してしまうという悲しい人生となってしまった。

終身刑となった彼は今もアメリカのどこかの刑務所にいるらしい。
だが『レイラ』の印税はまだまだ彼に入る。おそらく世界一お金持ちの囚人だろう。クラプトンの『アンブラグド』が馬鹿売れした時、たぶん印税は倍増したはずだが彼はその理由が分かってたのだろうか?
さて、もしリタ・クーリッジが作曲したのだとしても、何故クラプトンはゴードンが作曲したことにしてクレジットにしたのだろうか?クラプトンはおそらくゴードンの未来を予言して彼のためにそうしたのだろう。だってクラプトンは神様なのだから。
テレビ『タモリ倶楽部』の人気コーナー「空耳アワー」では「レイラ〜怒って**ニー、レイラ〜ふざけて**ニー」というのがあったがまったくもってけしからん。バチ当たりである。ナンマイダブアーメン…


プロデューサーのトム・ダウドのドキュメンタリー。あああ映画観そこなったあ!
『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』
http://www.uplink.co.jp/tom_dowd/
DVD発売を待ちましょう。