あがったまま正論言う人。

ジョージ・ハリスンはやはりビートルズの中では異色の存在だった。ジョンやポールのようにロックンロールではなくチェト・アスキンスなどカントリー・アンド・ウェスタンをルーツにしているのでフレーズには独特の味わいがある。ギターはポールの方がうまい。という声があるが得意なジャンルが違えば比べようもない。
だからジョージとクラプトンのギター対決も最初から無理な話。
http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060626
たが彼の音楽に対する考え方は非常に真摯で常に新しいことに取り組もうという姿勢はもっと評価したいところた。例えばリッケンバッカーの12弦ギターを使ったのはかなり早かったし、シタールなどの民族楽器もそうだ。発明されたばかりのシンセサイザーに興味を持って取り込んだのも彼の功績だ。
電子音楽の世界

Abbey Road
(『ヒア・カム・ザ・サン』も名曲だね)
クラプトンや先日亡くなったビリー・プレストンをレコーディングに呼び新風を取り入れた。曲作りもジョンやポールにはできない玄人受けするトリッキーなものが多いような気がする。『タックス・マン』のギターソロは今でも斬新だし、『アイ・ミー・マイン』のワルツは衝撃だった。最近聞き直して惚れたのは『サブォイ・トラッフル』という曲でエレピとブラスの絶妙なバッキングと、終わるのか?と見せかけてまた始まるというタイミングの面白さ。これは正直僕は若い頃にはこの曲のよさが分からなかった。
極め付きは最高傑作の誉れ高い『サムシング』だがギターが格段にうまくなっているのがよくわかる。チョーキング/ビブラートの多用だろうがこれはやっぱり親友クラプトン様の影響が大きいだろう(この曲はレイ・チャールズをイメージして作ったとインタビューで答えている)。歌も、彼は声量がないのだがそれを逆に味にしていて、それは解散後の活躍で一層花開いた。ちなみにビートルズのコーラス部分で一番難しいパートを歌っているのも彼なのだ。(『ビコーズ』など)

http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060624
前にも紹介したがソロアルバム『オール・シングス・マスト・パス』は当時LP3枚組のボリュームだが全英・全米のヒットチャートで1位になった。このアルバムでジョージは人気だけでなく実力の高さを証明した。
その後活躍は映画製作などほかの業界に向かったためかしばらく低迷が続いたが、1988年に発表したアルバム『クラウド・ナイン』に収録された『セット・オン・ユー』が全米1位になった。最近アサヒスーパードライのCMに使われているが「I've Got My Mind Set On You」という歌詞が「あがったまま正論言う」と聞こえて空耳アワーのネタになってましたねえ。今日はオチなしですがいずれジョージがかかわった映画について書きますね。
Cloud Nine