おお、私は信じる煎り卵を

HELP! - 4人はアイドル
『イエスタデイ』といえばビートルズの曲の中でも名曲中の名曲と言われ、20世紀最高の楽曲とまで評価する人もいるほど。アルバム『ラバーソウル』に収録されたがすぐにシングルカットされ、1965年10月9日〜30日までビルボード誌で4週連続1位を記録した。ビートルズがまだ活動中に世界ですでに1000曲をこえるカバーレコードがあって、現在はもう数えられないくらい。ギネスブックに「世界で最もカバーされた曲」として認定されているほどだ。
この曲の構成はAABAになっているが、Aの部分、歌詞で言うと「yesterday〜in yesterday」が7小節しかない。普通は4の倍数で構成されるものだが、この辺は本当に天才としかいいようがない。というのは、この曲、ポール・マッカートニーが「夢の中で曲が浮かんだ」んだそうだ。
現代音楽の作曲家が「何か斬新な曲はできないか」と日夜苦悶と苦闘の末作りあげたというのなら何となく分かるが、そうでなく偶然のように作ってしまったというのは全くため息がでる。神によってもたらされたようだね。
レコーディングにあたりポールはギターと歌だけで参加し、他のメンバーは一切関わってない。プロデューサーのジョージ・マーティン弦楽四重奏の作曲をし、取り入れた。このストリングスが正にこの曲の名曲たる「肝」でもあった。「ロックンロール」が「ロック」へ進化した瞬間と言えるのではないだろうか。ちなみにレコーディングはたったの2テイクで終わり、2テイク目が採用されている。当時はマルチトラックがまだ普及していない時代なので(つまりカラオケを作らない)、おそらく一発録り。クラシックの人には当たり前かもしれないが、クレジットされていない、バイオリニストたちにも賞賛を贈りたいですね。今頃「おじいちゃんは『イエスタデイ』のバイオリンを弾いている」と自慢している子供達がロンドンにいるんでしょうね。
ビートルズ・サウンドを創った男―耳こそはすべて

曲の方はわりと簡単にできたようだが、苦労したのは歌詞で、これはジョン・レノンのアイデアも借りたそうだ。後のインタビューでは「亡き母を歌った」とポールは答えている。
それと。これはびっくりだが『イエスタデイ』という言葉が浮かばず、最初は『スクランブルド・エッグ』と歌っていて、曲名もそうだった。「スクランブルド・エッグ〜〜なぜあの娘は煎ってしまったのか?僕は目玉焼きに戻したい」とでも歌っていたのだろうか。それでも「超斬新な曲」としてヒットしたかなあ。

(仲のよかった頃の二人に戻って欲しかった。ビートルズファンにとっては夢でしたね)
ザ・ビートルズ 1976ダコタ・ハウスにて…【字幕版】
ザ・ビートルズ 1976ダコタ・ハウスにて…【字幕版】 [VHS]