お酒は控えめに
「記憶の無くなる映画」とは少し違うが
酒飲みの私はよく記憶を失う。
どうやって帰ったか覚えていないことはざら。
しかしちゃんとタクシーで帰っているらしい。
領収書とカードの支払い伝票がポケットにあるので
運転手にしっかり行き先を告げ、
支払いの手続きをしサインもしているのだろう。
大丈夫かっ自分。
…なさけない。
アルコール依存症は昔のいわゆる自虐的な言い方の「アル中」とは違い、
最近は精神的な病のひとつとして真剣に考えられるようになった。
僕の神様、クラプトン様がアルコール依存症で苦しんだ事実は有名だが
治療施設でどうにか克服した彼はその恩返しにカリブ海のアンティグア島に
「クロスロード・センター」という施設を1998年に設立した。
その運営資金の一部にあの伝説のストラト「ブラッキー」を惜しげもなく
チャリティオークション(クリスティーズ)に出品し、収益を寄付した(約1億円で落札)のも有名な話。
レインボー・コンサートブラッキーを一躍有名にした作品。
http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060712
ロック界にはこの病気で苦しんでいる人も多い。
ロン・ウッド、ビリー・ジョエルやイエスのリック・ウエイクマンなど。
残念ながら亡くなった人も多いですね。
日本人は欧米人に比べて肝臓の酵素が弱く
依存症になる前に肝炎になってしまうのでこの病気の方は比較的少ないらしいが、
欧米では本当に深刻な社会問題になっている。
アメリカ映画でもアルコール依存症をテーマにした映画も多く、
アカデミー賞対象になった名作も古くからたくさんある。
ビリー・ワイルダー監督の『失われた週末』(主演:レイ・ミランドが主演賞受賞)
ブレーク・エドワーズ監督の『酒とバラの日々』
(主演:ジャック・レモンとリー・レミックがそれぞれ主演男優女優でノミネート。ヘンリー・マンシーニの音楽が受賞)
マイク・フィギス監督の『リービング・ラスベガス』(主演ニコラスケイジが主演男優賞受賞
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この他
『男が女を愛する時 [DVD]』
『800万の死にざま [VHS]』
『ペイ・フォワード [DVD]』などがある。
救いのある映画も、どうしようもなく暗い結末のものもあるが
結構欧米では近親者にいて身近なことなのだろう。
この病気は精神的にいつも緊張感や集中力を要求される職業の人がなり易いといわれている。
仕事が終わった後のリラックスに一杯というわけでしょうね。よく分かります。
『失われた週末』の主人公は作家。
『酒とバラの日々』は広告会社の営業マン
『リービング・ラスベガス』は脚本家。
など、〆切や常に高度な仕事が求められ、プレッシャーがきついクリエイターや
作家やミュージシャンも多いのは当然でしょうか。
『トラ・トラ・トラ!』撮影中の黒澤も何かの強迫観念によって
酒に溺れていた事実があった。
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日本では中島らもがよくアル中ネタを書いていた。
(本人は酔っ払って階段から落ちて亡くなった)
確かエッセイにこんな話があった。
(手元に本が無いので正確じゃないですが。しかもどの本だったか"記憶"が無い…)
あるアルコール依存症の治療院。
ここには幻覚や幻聴などの症状が見られる重症の患者が入院している。
病室は自殺防止のためか必ず二人部屋らしい。
そのうちのある患者が真夜中にいきなり号泣してパニック状態になった。
彼が言うには。
「大変だあ!俺の脳みそが爆発してしまった!何とか元に戻さないと俺は死んじまうよお!」
もちろん「幻覚」である。
彼は泣きながら存在しない「床に落ちた脳みそと頭蓋骨の破片」を拾い始めた。
驚くのはまだ早い。
それを聞いていた同室の患者である。
彼も
「うわっ本当だ!僕も手伝ってやる!」
と言って、一緒に「頭蓋骨」を拾い始めた。そして、拾った「頭蓋骨」を
患者の頭に戻してやろうとした。
ところが破片はジグソーパズルのように複雑な形なので
「ここじゃない」「あっちだ、こっちだ」と二人で一晩中かけて
頭に戻してやった…。
こんなことが毎晩あるそうだ。
というわけで僕は
酒を少し控えようと思いました。
少しね。