珍作フランケンシュタインとは

原作者メアリー・シェリーがもし生きていたらビックリ仰天・苦笑・卒倒・映画化絶対に許さないと思われる映画は『サンダ対ガイラ』だけじゃない。ハリウッドだけでなく、本国イギリスでも何本もあるし、映画以外にもマンガや音楽のネタになったりしている。
思いついたものだけ紹介すると…


フランケンシュタインの花嫁』[rakuten:neowing-r:10063166:image]
これは
http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20071224
にも書いたフランケンの定番デザインとなったユニバーサル映画(1931年製作)の続編で、フランケンの花嫁として新たな怪物が登場する。髪が上にとがった形をし、鳥というか爬虫類のような動きをする女フランケンである。ただ、原作にはちゃんと、怪物が女を欲しがって博士にねだったというくだりがあるので、それをヒントに作ったと思われる。結局はこれも悲劇的な終わり方をする。1935年(昭和10年)の映画だ。


ミツバチのささやき(1973年)
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これはその時代を舞台にしたスペイン映画で、映画『フランケンシュタイン』を観た子供が、村のはずれの空き家で傷ついた兵士を発見し、本物のフランケンと信じてしまい…という叙情的な反戦映画の傑作である。


『悪魔のはらわた』(Flesh For Frankenstein) (1973年)
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イタリアの名プロデューサー、カルロ・ポンティが、前衛アーティストのアンディ・ウォホールを監督に迎えて作った、これぞ史上最もグロテスクなフランケン映画。血しぶきや内臓が飛び散り、内臓を使って○○するし、屍体性愛、近親相姦、アングラ何でもありの世界はホラーというよりはもはやエログロ・ナンセンスで、熱狂的なファンも多く、カルトムービーと化している。


デス・レース2000年』(1975年)
デス・レース2000 [DVD]
ロジャー・コーマン監督による、これもカルト・ムービーだが、別に怪物は登場しない。主人公のデビッド・キャラダインががフランケンシュタインという異名を持つレーサーである。「西暦2000年の近未来」という設定でしたが、もう現実には2008年ですねえ。


音楽では、
エドガー・ウィンターの『フランケンシュタインという曲が1973年に全米ナンバー1ヒットになった。ロック系のインスト曲なのだが、歌が無い曲がナンバー1になったのは非常に珍しい。エドガー・ウィンターといえば兄(弟だったっけ?)のジョニー・ウィンターとともにアルビノであり、どちらかといえばブルース系なのだが、この曲はかなりハードロックでプログレな曲だった。
ベスト・オブ・エドガー・ウィンター [ エドガー・ウィンター ]

エドガーさんシンセとサックスとドラム弾きまくり!しかもリック・デリンジャーがギター!!こういう人たちを真のミュージシャンと呼びたい。



何だか1973〜75年にフランケンシュタインが集中しているのは流行だったのですかね。


で、
めでたくデイブ・リー・ロスが復帰して活躍中のヴァン・ヘイレン
エディ・ヴァン・ヘイレンが若い頃使っていたトレードマークのギターは、自分であちこちを改造し、つぎはぎのような模様を付けていたことから、「フランケンシュタインと読んでいた。


↑最近どこかのメーカーが細部まで再現したギターを発売していて、ロック雑誌の話題になっていた。わざとボロボロにしたギターが何百万円もする!↓これはその模様を拝借したエフェクター。このくらいなら買えるぞ。
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日本のマンガでもいくつもおなじみキャラですが、
なんと言っても藤子不二雄A先生の『怪物くん』でしょうね。
怪物については著作権はないのだろうか?と今になって心配になってしまいますが、古今東西の怪物・怪獣・妖怪が登場しましたね。『大魔神』ネタでハニワ君?というのも出てたのを思い出しました。ここに出てくるフランケンは主人公・怪物くんの家来で「フンガー!」しか言わない、ちょっと頭が足りないが、「気は優しくて力持ち」タイプのキャラでしたね。
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で、最後に極めつけは、大天才楳図かずお先生の『ひびわれ人間』。
正統派ホラーであるが非常にうまく日本風にアレンジされている。僕はこの作品以上に哀しいフランケンを知らない。
事故で死んだ幼児の脳が誤って使われてしまい、生まれたのは幼児の知能と記憶を持った怪物。怪物は、母親のもとに現れるのだが…。

これ以上は言いません。僕は子供の頃これを読んで、もう恐くて恐くて。でも泣いたのは恐かったからでなく悲しかったからでした。何度か読み返しましたが、楳図先生の絵の力もさることながらストーリーテリングの素晴らしさに唸らされました。
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楳図かずお恐怖文庫
これは全部揃えたい!


たぶん、メアリー・シェリーは『ひびわれ人間』は絶賛するでしょう。なぜなら彼女の人生は生まれた時から実に波乱に富んだもので、それが関係しているから。彼女の小説の中にも思想や心情に現れています。詳しくはまた次回!