ジミヘンの詩

http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060806
でsus4のことを書いたが、ジミ・ヘンドリックスは指癖からかsus2というコードを多用していた(Cの場合ドレソ)。これも少し変わった響きだが、sus4ほど「不安な感じ」はしないような気がする。このコードについてはあまり見かけません。
これも見つけた人はご連絡ください!

ちなみに
http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060524
で書いた、ジミヘンの代表作のひとつ『リトルウイング』でも使われている。
ロックギタリストを目指す人は本当にこれを完璧コピーすべし。これができるようになれば後はたいていの「難しい曲」も楽になるはず。
で、日本ではジミヘンは今でもトリッキーで派手なプレイばかり注目を浴びる傾向が強いようだが、実は極々オーソドックスな演奏や曲作りも評価されるべきだろう。アメリカやヨーロッパではジミヘンの代表曲といえば『レッドハウス』というブルース。これはオリジナルアルバムではメインのひとつとして収録されているが、当初の日本版ではこの曲がはずされて『紫の煙』が入れられているという実情をみれば明らか。欧米では本来最も評価されるべき曲が「ブルース」というのは順当なところなのだが、ブルースにはそれほど馴染みのない日本人にはきついところなのでしょうか?
アー・ユー・エクスペリエンスト?


その大きな理由はやはり「言葉」なのだと思う。

ジミヘンは当時、詩の面でも革命を起こそうとしていた。
よく知られていることだが、彼が作詞の面で最も影響を受けていたのはボブ・ディランだった。
ザ・ベスト・オブ・ボブ・ディラン


虐げられた人々のこと、社会や制度についての批判や皮肉、告発はもともとブルースのテーマだったわけだが、ユダヤ人であったディランは容赦なく、ある時はストレートに、ある曲では隠喩にこめてそれらを謳った。ジミヘンはそれらを踏襲した手法で(歌い方まで似せた)、もっと過激でかつリリカルな詩を書いた。しかも明らかにディランとは違う派手でアバンギャルドな音楽のジャンルでの曲のようだったが(何せ当時彼は世界トップクラスのギターテクを持っていたからいろんな試みをしたかったのだろう)、その基本の姿勢は共通していたと思う。晩年はものすごい量の本を読み、機関銃のように詩を書いていたという。まるで自分の死ぬ日を知っていたかのようだ。
ジミヘンがあと10年長生きしていたら、ロック史上最高の「詩人」になっていたかもしれない。

ところで今僕がハマっているのは
komasafarinaさんのブログ。いつも僕の好きなミュージシャンの、しかもわりと通好みの曲を選んで日本語に訳していらっしゃいます。で下はこの『リトルウイング』の回。
http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20060805
アクシス:ボールド・アズ・ラヴ


正直感動しました。こんなに美しい詩だったのですね!あんなに何回も聴いた曲なのに改めて「発見」しました!

かなり先進的で一見「変」な曲の中に、詩は地味なようだが、キラリと光るものがある。だから地味変なのだあ!…。ちゃんちゃん。

アー・ユー・エクスペリエンスト?