sus4が好きっ!

吉村昭から唐突ですが音楽の話に戻ります。
しかもちょっと濃いかも。
今日はsus4というコードが好きだ!っという話です。
sus4はサスペンド4th(サスフォー)というコードで、例えばC(ドミソ)のコードでいえばドの音に対して完全4度(つまりファ)の音をミの代わりに加えたもの(ドファソ)。この和音は何だか中途半端な響きで落ち着かないんで、聞く人に少し不安感というか満たされないような気分を与える。だからほとんどはすぐ後に普通の(ドミソ)に戻すことで安定感を与え、ホッとさせる。聞き手に「ああ、行きそうで行かない…どうしようっ」と思わせて「…ああよかったあ」とさせるんですね。
大バッハの『トッカータとフーガ』という名曲(嘉門達夫の「チャラリ〜鼻から牛乳〜♪」古い…)でも使われているくらい古典的な手法だけど、ポップス界の作曲家でも抜群の上手い使い方をしている人がいる。
嘉門達夫シングルベストコレクション+1 1997?2001


僕が始めてこのコードを意識したのはやっぱビートルズだった。
『ア・ハード・デイズ・ナイト』のイントロの「ジャ〜ン!」の音だ。子供の頃持っていた楽譜にはこの音のコードが表示されていなくて、音を探すのが凄く大変だった記憶がある。あのギターは12弦エレキなのでよけい分からなかった。あとでGsus4だって分かった時は小躍りする程嬉しかった。ところがこの曲Gsus4が出て来るのは後にも先にもここだけ。すぐ後にGも来ない。なんて斬新なアイデアなんだ!
A Hard Day's Night ? ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!


そのあと見つけたのは名曲『イエスタデイ』。いわゆる「サビ」の歌詞でいう「I said something wrong〜」の「I」の部分がAsus4で、「said」はAでした。
それからというもの結構このコードを意識していろいろ探して聴いてみるのだけど、まず日本のロックや歌謡曲には似合わないのかあまり見かけられないような気がする。
で、どうしても洋楽になってしまうのだが、
まず僕の大好きなトッド・ラングレンの名曲『Can we still be friends?』 には、教科書に載せたいくらい鮮やかなsus4が使われているし。
Hermit of Mink Hollow


あとはボストンのデビューアルバムに収録されていた『スモーキン』という曲は典型的なロックンロールなのにサビはクラシックのコード進行で、ここの一番の聞かせどころにsus4がある。
幻想飛行(紙ジャケット仕様)【2012年1月23日・再プレス盤】


バート・バカラックの『遥かなる影 Close to you』(カーペンターズが歌って有名)にもあって、これも割と斬新な使い方でしょう。
The Best of Burt Bacharach


好きだっとかいいながら思い出すのはこのくらいしかなくて恐縮ですが、邦楽にもないわけでない。
そうですね、やっぱり天才ユーミンにはsus4を本当に上手く使っている曲があります。『いちご白書をもう一度』『朝日の中で微笑んで』にもさりげなく使われているけれど、なんといっても凄いのが『何もなかったように』。もうこの曲に至っては陶酔してしまうほど美しい使い方で、僕の中では洋邦問わずsus4使用曲ベスト1ですね。
14番目の月


で、もう邦楽にはこれ以上の名曲はないかと思っていたら、若い作曲家でひとり、気になる人がいるのです。
それは松本良喜。この人がどういう経歴を持っているのかあまり詳しくは知らないけれど、映画で聞いた『月のしずく』という曲(柴咲コウ歌)、それと中島美嘉の『雪の華』(すでに古いって?すみません。僕はあまり邦楽を聴かないもんですごく遅れてます…)。この2曲のsus4は抜群!特に『月のしずく』の使い方は、かなり高得点です。もしかしたらユーミンを超える才能かもしれないですね。これからちょっと期待してます!
月のしずく

雪の華(CCCD)

何かいいsus4を知っている方はぜひ御推薦ください!