薔薇の華とは違います。

フェンダー社といえばギブソン社と並ぶエレキギターの老舗メーカーで、ストラトキャスターとかテレキャスターといった名器で有名だが、ローズ(Rhodes)ピアノというエレピ(エレクトリック・ピアノ)でも一時音楽界を席巻した。だいたい60年台後半〜80年代前半くらいの時代だろうか。
この時代、ジャズ、ロック系のキーボードには欠かせない楽器になっていたのではないか?それは単にアコースティックピアノの代わりではなく、「ローズだから出せる音」を求めてミュージシャンが好んで使っていたのだと思う。
僕が高校生の頃友人Kとやってたバンドでは、僕がギターとボーカル、Kがピアノとバックボーカルという変則?編成でライブをやったりしていたが、ある日そのKが何と何十万もする「ローズ」を買ってしまい(ジャズピアニスト/アレンジャーとして高名な前田憲男さんのお古だった)、とにかくKの自宅でその音を最初に生で聴いた時はあまりにも美しい音色に鳥肌が立ったものだった。(因みにそのKは、そのローズのおかげなのか、僕とのバンド解散後プロのキーボード奏者として活躍した)
では、「ローズだから出せる音」とはどういうものなのか?それは硬いトーンにすればクリアでシャープな音で実にクールでスマートで。少しトーンを隠らせた音はメランコリーで繊細なドラマチックな音で、どちらも実に味わいと華があり、しかもこれにステレオトレモロとリバーブ(エコー)を利かせると、とてもこの世のものとは思えないほど素晴らしい音色で。他社でもエレピは出してはいるが(ヤマハはCPシリーズというエレピの名器がある)追随を許さない。
デジタルシンセサイザーの時代になってもこの音だけはなかなか出せないようで、ヤマハやローランドのシンセでも似たような音色をシミュレートしていたが「Rhodes」はフェンダーの商標なので「Rose」として表示していた。ちょっと情けないが、それほど「Rhodes」の音はポピュラーでかつ優れていた。
では実際はどんな音なのか?
以下にフェンダーローズ(Rhodes)ピアノの使用例(有名どころ)を少し挙げてみました。誰でも聴いたことのある曲ばかりだと思いますが。


ビートルズの『ゲット・バック』でビリー・プレストンが弾く間奏部分。
今年亡くなってしまったが、プレストンの名前を一躍挙げたパフォーマンスのひとつだろう。
http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060623
レット・イット・ビー


10CCの名曲
『アイム・ノット・イン・ラブ』
とにかくこのバンドは新しい楽器を使いこなす才能が溢れていた!
メロトロンとの相性は抜群!
http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060625
The Original Soundtrack


エルトン・ジョン
『ダニエル』
生ピアノが基本のエルトンが敢えてこの曲ではローズを使ったのには十分理由がある。
黄昏のレンガ路(グッバイ・イエロー・ブリック・ロード)


ボブ・ジェームズ
『夢のマルディ・グラ(TAKE ME TO THE MARDI GRAS)』
長い間日テレの『TVジョッキー』(土居まさる司会)のテーマソングだった。古っ!?
夢のマルディ・グラ+1 フュージョン・クラシックス・オン・タッパン・ジー (2)(紙ジャケット仕様)


荒井由実
『海を見ていた午後』
松任谷正隆のアレンジが優れていた。
この曲は今でもユーミンのベストワンという人も多い。
ミスリム


チック・コリア
『リターン・トゥ・フォーエヴァー』
僕にとってはこれがローズピアノの最高峰です!
聴いたことのない人は絶対に聴くべき!
リターン・トゥ・フォーエヴァー


ピンクフロイド
『アニマルズ』
フロイドにしては地味なんだけど名盤!
アニマルズ


スティービー・ワンダー
『サンシャイン・オブ・マイ・ライフ』
ローズピアノの特性を最大に活かした名曲。これは天才だからなせる技だろう。
TALKING BOOK


というわけですが他にもいっぱいありますよね?思い出せませんが。
皆さんの知ってる曲教えて欲しいです。
メンテナンスが大変なのでしょうか?売ってないようですし最近はデジタルサンプリングで間に合っているのか活躍の場がないようですが、「フェンダ−ローズピアノ」応援したいです。