ジミー・ペイジ様

で、ジミー・ペイジはヘタウマギタリストとか言う人がいる。
確かにジェフ・べックやクラプトン様に比べればヘロヘロである。
何じゃこれは?というフレーズも多いし、ライブに至っては明らかなミスタッチも目立って「苦笑い」どころか哀しくなってしまうくらいだ。
ジミヘンも死ぬ寸前のライブは疲れと薬とかでボロボロだったが、彼はシラフであれだ。
でも。
かっこいい。
レスポールスタンダードの「音を発明」したのはクラプトン様だが、ストラップをギリギリ下げて持ったあの演奏スタイルは彼のオリジナルだ。かっこよすぎる。僕も含めてあやかって真似している日本人アーティストも多いけど、みんなペイジほど身長ないし、手足も短いのでまったくなってない。
(まあ、いずれも太ってしまった今のペイジじゃない'70年代の話ですが)
彼に憧れてギターを始めた人もたくさんいるはずだ。
それでギターテクの話だが、とにかく彼の場合は「ギターでしか作れない曲」を究極まで追い求めた人と、僕は思っている。ギタリストなら納得すると思うが、「天国への階段」「レインソング」なんかはその代表作だろう。本当にかっこいいフレーズを作る天才だ。
それと。
これもバンド経験者は分かってくれると思うが、決して彼の曲の演奏は簡単じゃない。というか「レッド・ツェッペリン」の曲は、である。
実はギターもドラムもベースも個々のパートは実はそんなに難しくない。(え?矛盾してるって?)いや、アンサンブルが難しいのである。
僕の経験だが『永遠の詩The Song Remains the Same』をバンドの課題曲にしたことがあった。あの曲は聴いた感じはそんなに難しくないし、それなりにかっこいいし。で、約一ヶ月メンバーは各々のパートを練習し完璧にやれる状態でスタジオに集まって、合わせてみたら…
ダメだ。
オープニングからして全く合わない。まん中辺の曲想が変わるところとかも難しくて止まってしまう。後で楽譜を見ながら皆で分析してみたら、楽譜通りに弾いているのだが、それぞれが微妙なタイミングで捉えていたから合わなかったのだった。要するに”指揮者”が必要なくらい繊細なリズム絶妙な曲で、これは演奏してみて本当に初めてわかった。
レッド・ツェッペリンはこの曲をある時期ライブで一番最初に演奏していた。
恐るべし。
映画『永遠の詩』を見てもよくわからんが彼らはアイコンタクトで合わせているはずだ。

聖なる館

聖なる館

やっぱりレッド・ツェッペリンは凄い!偉い!
それ以来僕は「ジミー・ペイジはヘタウマギタリスト」という奴には「じゃこの曲バンドでやってみろ!」と言いたい。『ブラックドッグ』も難しいぞ。
で、ツェッペリンはペイジとプラントばかり目立つが実はベースとドラムの二人に支えられていたこともバンドをやってよくわかりました。
キング・クリムゾンやイエスはもちろんさらに凄いが、明らかな変拍子や変調をこれ見よがしにやるのではなくR&BやR&Rで結構複雑やっているのがかっこいいのだ。
皆、ジミー・ペイジをもっと尊敬するように。
いやジミー・ペイジ様と呼ぶように。