ジミヘンてジミ・ヘンさんじゃないぞ。
ジミヘンて、歯でギターを弾いたとか、トリッキーで派手なプレイや破天荒で生き急いだ人生ばかり語られるが、本来はもっと緻密で繊細な彼の音楽に対しての天才ぶりを評価すべきだろう。
たとえば代表作の『風の中のマリー』はレコーディングスタジオの余り時間約20分で作ってしまったという。作曲からギターソロのオーバーダブまで入れて仕上げたというから驚異だ。それに応えて演奏したノエル・レディングとミッチ・ミッチェルも偉いが。
また以前神様クラプトン様が来日した時に日本の音楽雑誌のアホ記者に「ギターを弾きながら歌うのは難しいか?」と聞かれて、「 歌う時はギターはカッティングに徹してるし、歌わないところでギターソロを弾いている。だから難しくない(笑い)。歌いながらギターソロなんてできる奴はいないよ」とお答えになっていた。バンド経験者ならこんな質問はギターの神様にするはずもないし(その答えは常識だから)、日本の音楽雑誌の程度も知れるが、しかしその答えのすぐその後にクラプトン様は「いや、僕の知っている限り一人だけいた。ジミヘンだ!」とお答えになった。(「ジミヘン」とは言わへんやろ〜。)
ジミヘンは複雑なギターソロを弾きながらちゃんと歌っているのだ!凄い!
それともうひとつ天才?ならではのことがある。
指が異常に長いのだ。
全部の弦を人さし指で押さえることを「セーハ」というが、ジミヘンは親指でセーハが出来てしまった。つまり常人は人さし指でセーハしたら残りの中指・薬指・小指で別の弦を押さえねばならないが、彼は人さし指が余っているので別の弦をよけいに押さえることができる。それによってコードのバリエーションが抜群に広がる。彼の曲でどうしても完全コピーできない曲があるのはこのためだ。「不世出」とはこのことか。
もっと彼の天才ぶりを実感したい人(特にエレキギター弾き)は、『リトルウィング』を聴くべし!
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