見張塔からずっと偽物を見張ってて

僕のサイトには
最近の日本のCMに使われている洋楽(オリジナル曲を紹介)のコーナーがあります。
http://www.yunioshi.com/cm.html

この間テレビでサッポロの発泡酒「凄味」のCMを見て
(あの松田龍平がとてもまずそうに飲むやつ)
ああ、ジミ・ヘンドリックスの「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」使ってるぜ!
と思って書き始めた。
ん?何か違うぞ??
念のためサッポロのサイトで確かめたら。
http://www.sapporobeer.jp/product/l-malt/sugomi/index.html

「オリジナル曲」!だと。
そう言えば曲違うじゃん。
でも「音」はジミヘンの「ウォッチタワー」に間違いない。
歌も無いし、曲が違うから著作権は侵害していない。
でもなあ。これじゃあジミヘンも浮かばれない。
ミッチ・ミッチェルノエル・レディング
12弦ギターを弾いていたデイブ・メイスン
プロデューサーのチャス・チャンドラーエディ・クレイマー(エンジニア)たちもやるせないだろうに。
苦労して創り上げた音が歌(詩)と曲が違うだけで他人のになっちゃったんだからね。
まあ、それだけ偉大だということですかね。
(それなら本物使った方がいいと思うけど)まあ、
ビールまがいの発泡酒のCMだから良しとしましょう。
エレクトリック・レディランド
このジャケットは偽物だっ!やっぱりあれじゃないと。


この曲の原曲はもちろんボブ・ディラン
邦題『見張塔からずっと』。
ジョン・ウェズリー・ハーディング

ディランがバイク事故で2年近く隠遁生活を送っていた時に、
聖書を読みまくっていたそうで(ディランはユダヤ人)、その中の一節からヒントを得た詩だという。
これはディランの詩の中でも最も神秘的で哲学的な内容で、また人気の高い曲である。
当然多くのアーティストがカバーしているが、一番有名なのは何と言ってもこの「ジミヘン・バージョン」だろう。

天才ジミヘンドリックス ギター革命児の真実
この本によれば、当時ジミヘンが関係者からディランの最新テープを入手し、
ものすごいインスピレーションを感じてこの曲をレコーディングすることに決めたという。
しかしそのレコーディングは難航した。
デイブ・メイスンはこの曲のコード進行に四苦八苦し、それに対してジミヘンは喚きちらした。
その結果莫大な量の録音が残った。
ノエル・レディングは辟易して途中で逃げ出してしまい、
結局はベースもジミヘンがやることになったと言ういわくつき。

しかし、さすがに完成度の高い曲に仕上がり、今では「ジミヘンの代表作」とまで言われている。
本家のボブ・ディランが後にはこの「ジミヘン・バージョン」で演奏しているほどだ。

本家まで影響を与えたカバー曲というのはなかなか無いと思うが
これも次探してみます。
皆さんも知っているのがあればお寄せください。


ミュージシャンが出てくる曲
http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20070715

これもまだありましたね。
ジョン・レノン『ゴッド』には
「僕はエルビスを信じない。僕はツィンマーマンを信じない。僕はビートルズを信じない」という一節がある。
ツィンマーマンとはボブ・ディランの本名でした。
ジョンの魂


もうひとつ。
パティ・スミスの『ロックンロール・二ガー』には
Jimi Hendrix was a nigger.Jesus Christ and Grandma, too.」という部分もありました。
イースター(紙ジャケット仕様)【2012年1月23日・再プレス盤】


ボブ・ディランとジミヘン、やはり超偉大だね。